しょうた旅―尾道編
汽車が尾道の海にさしかかると
煤けた小さい町の屋根が
提灯のように拡がってくる
赤い千光寺の塔が見える
山は爽やかな若葉だ
緑色の海の向こうに
ドックの赤い船が帆柱を空に突きさしている
私は涙があふれていた
~林芙美子「放浪記」より~
煤けた小さい町の屋根が
提灯のように拡がってくる
赤い千光寺の塔が見える
山は爽やかな若葉だ
緑色の海の向こうに
ドックの赤い船が帆柱を空に突きさしている
私は涙があふれていた
~林芙美子「放浪記」より~
海と坂道のある街が好きです。
老後は門司か長崎か別府か廿日市か横須賀の斜面に建つ中古住宅を買って海を見ながら死のうと思うぐらい好きです。
なので海と坂の街を歩きたくなって尾道まで行ってきました。
10月限定で発売される秋の乗り放題パス(青春18きっぷっぽい切符)の利用期間中だったので、はるばる九州から鈍行列車に乗って尾道を目指しました。広島までならおじいちゃんの家に行くのでよく乗っていたので広島も尾道も変わらないと思って。新幹線高いし。
でも実際やってみると、広島から先は車窓は山ばかりで絶望的につまらないし、車両が悪いのか揺れまくってかなり疲れました……。広島だけに疲労コンパイル。普通に高速バス乗り継いどけばよかった。
九州から7時間ぐらいかけて尾道駅に到着。長かった。
普通の観光地は駅からさらに1キロぐらい歩かないとたどり着けないものだけど尾道は違います。
ロータリーの向かいの渡船乗り場では赤いバイクにまたがった郵便局員が船の到着を待ち、反対側に目を向けると山の中腹まで斜面に沿って住宅が立ち並び、道路側に目を向けるといい感じに色あせたアーケードがカーブの向こうまで続いています。 駅を降りた瞬間からイメージ通りの、いや、それをも超える尾道らしさを凝縮した風景なんですよ。これには長旅の疲れも吹っ飛ぶ!
でかい再開発ビルが雰囲気をぶち壊しているけどそこは気にしたら負けです。スルースキル、大切。
というわけで尾道の街をあてもなく歩いてきたよ。
尾道といえば千光寺からの景色と因島への渡船のイメージが強いけど、商店街も色々な店があって楽しいんだよね。
尾道プリン(名物?)とかスイーツ店も多いし、最近は数年前にオープンした「パン屋航路」というパン屋が人気だったり、食べ歩きスポットも多くて。
……楽しめませんでした。
パン屋航路は大行列。コロナ前に行った時もここまで混んでなかったのに!30分は並びそうだったので諦めました。
観光客が戻ったと思うと喜ばしいけれど、列から胡散臭い関西弁ばかり聞こえてきたのでコロナが広がらないか(この時はまだ大阪の患者数は多かった)心配です。しょうたも福岡から来てるので人のことを言える立場ではないけど。
パン屋航路とともに尾道の商店街で楽しみにしていたものがもう一つあります。それは見るからに老舗っぽいおもちゃ屋さん。
昔のベイブレードやチョロQが眠ってそうなので前から気になってるんだけど、口コミにも「やってるかは店主さんの気まぐれ」と書かれているほど営業日が定まってなくていつも休みで入れたことがないんだよね。 今日こそは空いてればいいな……
…………。4度目の空振り。
次行こうか。
アーケードを抜けた先にしょうたが尾道でも5番目ぐらいに好きな場所があります。
ここです。
パッと見どこにでもある普通の商店なんだけど店の横に小さく開いている通路を進むと、神社も鎮座しているちょっとした広場があって、神様しか入れない不思議な空間にでも迷い込んだかのような雰囲気を味わえます。
残念なが動画を取ることに夢中で写真は撮り忘れていた。バカだ。
あとこの近辺で感動したのはポプラが残っていたことですね。俺の地元に「ポプラ」というコンビニが~のコピペでお馴染みのポプラです。ローソンに変わって最近めっきり見なくなったのに。
店内も微妙に古さを感じる内装で、小さいころよく行ってたエブリワン(消滅)やポプラもこんな雰囲気だったなと懐かしさがこみ上げます。平成の日本の原風景として未来に残したい。
まあ、福岡でも博多駅前店はポプラのまま頑張ってるから、ポプラには毎週行ってるんだけど。
陸にも飽きてきたしお船に乗ります。
尾道といえばやっぱり渡し船!対岸の因島とも市街地が続いているので、尾道では渡し舟が発達しています。
小さな船から見える尾道の街並みも地上や山から味わうのとはまた違った趣があっていいよね。
あとは地元民の利用が多く生活感にあふれていることも尾道の渡し船の魅力だと思います。 船に自転車で乗り込む小学生や杖をつきながらやってくる地元の老人を見て、この地で暮らす人はどんな日常を送っているのか思いを馳せるのも楽しいよね。
そうこう考えているとあっという間に向こう岸に到着。たった5分ほどの小さな小さな旅でした。
街と海は行ったので、最後は坂ですね。
尾道は江戸時代から明治前期にかけて港町として広島と並ぶほど繁栄していたといい、土地が足りなかったので山の中腹まで市街地が広がっています。 江戸時代に栄えていた場所なので、同じ坂の町でも明治の面影を残す函館や、大正の浪漫を今に伝える門司、高度経済成長期感が漂う別府ともまた異なった趣です。
かみちゅの来福神社のモデルになったことで知られる艮神社。
大林信彦監督のなんかの映画のロケにも使われていたり、色々な作品の舞台になっている「聖地尾道」の象徴みたいな場所です。 前行ったときは痛絵馬もあったけど今回は見かけなかったです。コロナでオタクたちも聖地巡礼にこれなかったんでしょう。
尾道の町を一通り満喫して歩き疲れたので広島のおじいちゃんの家まで帰ります。
尾道は噛めば噛むほど味が出るあたりめのように、歩くたびに発見があるので何度行っても飽きないです。
尾道は本当にいい場所なのでみんなも一度と言わず何度でも行ってみてね。
おまけ・隠れた広島名物、ちからのラーメン
尾道方面への列車まで乗り継ぎの時間があったので、広島の手前の横川駅(シンカリオンの横川駅とは別だよ)の近くにあるうどん屋「ちから」の中華そばを昼食にしました。この店は本業はうどん屋だけど中華そばもすごい美味しいんですよ。
特別何かあるわけではないけど(ごめんなさい)、どこか懐かしく、何度でも食べに行きたくなるような、シンプルだけど味わい深いラーメンです。「しんぷる・いず・べすと」という言葉は多分このラーメンの味を表現するためにあるんだと思います。 しょうたが焼きたて!!ジャぱん世界の住人だったらリアクションで「しんぷる・いず・べすと」を表現するために周りを花畑に変えてその中を全裸で走ったことでしょう
スープは広島で定番の豚骨醤油。他の広島ラーメンにも言えるけど、あっさりと豚骨という矛盾しそうな味が違和感なく同居する珍しいスープなので、豚骨が苦手な人も満足できると思います。
特別何かあるわけではないけど(ごめんなさい)、どこか懐かしく、何度でも食べに行きたくなるような、シンプルだけど味わい深いラーメンです。「しんぷる・いず・べすと」という言葉は多分このラーメンの味を表現するためにあるんだと思います。 しょうたが焼きたて!!ジャぱん世界の住人だったらリアクションで「しんぷる・いず・べすと」を表現するために周りを花畑に変えてその中を全裸で走ったことでしょう
スープは広島で定番の豚骨醤油。他の広島ラーメンにも言えるけど、あっさりと豚骨という矛盾しそうな味が違和感なく同居する珍しいスープなので、豚骨が苦手な人も満足できると思います。