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しょうた散歩―皿倉山編


みんなはSNSは何をやってる?

――みくしぃ?
いまどきそんなのおぢさんしかやってないよ!

――ちっくとっく?
アルフォートから外にずんちゃか聞こえるぐらいのEDMをかけてるDQN (死語)かな!?

――Instagram?

Youいいセンスしてるね~!

(ジャニーさん風)

しょうたもインスタは大好きだよ!
VNIとしてのしょうたのインスタは半放置状態だけど、リア垢では綺麗な風景とか美味しそうな食べ物とか映える写真をよく投稿してたよ。
なんで過去形かって?
歳月とともに友達付き合いも減ってね~。
悲しいお話でした……。

そんなわけで実はインスタグラマーだったしょうた
今日も今日とてインスタ映えする写真を撮るため、きれいな場所に出かけてきました!
しょうた散歩、皿倉山編、は~じま~るよ~!
さて、みんなは日本三大夜景を知っていますか?
「長崎、札幌……、どこだっけ?」
長崎と札幌はすんなり出てくると思うけど、最後の一個は影薄いよね。県民のしょうたですらあんま意識したことないもん……。
その明らかに他の二つより影が薄い三大夜景の三つめは「北九州」っちゃ!
不夜城のように輝く工場の灯とか、洞海湾を行き交う貨物船とか、なかなか綺麗ですよ。

今日は、その北九州の夜景を見に&撮りに、北九州の市街地を見渡せる眺望スポットの皿倉山の展望台に行ってきました。
皿倉山の展望台へは、シャトルバスとケーブルカーと、スロープカーという小型のモノレールを乗り継いでいきます
まずは、スペースワールド駅前から出てるシャトルバスに乗車!!

やっぱ帰ろうかな~……。

自分以外全員カップルで、他の乗客から異物を見るような視線が刺さって痛いし、アウェイ感も半端ない。

休日のゆめタウンのフードコートに来る家族連れを見て引け目を感じるどころか「休日もガキのお守りで忙しくて可哀そう。」と優越感に浸るほど異常独身男性を極めているしょうたですら彼女が欲しいと心から思うほどの精神的ダメージです……。

それもそのはず、皿倉山は市も恋人の聖地として売り出しているほどの北九州方面では定番のデートスポット。
しかも、この時は全国割開始前だったので団体の観光客も来ないし、大学の新学期が始まったばかりで学生のグループも来ていない。
となると、いるのはカップルぐらいですね……。

でも、一度乗りかかった舟、もといバス。
ここで降りたら男が廃るし、日和って写真を撮らないなんてインスタグラマーとしても失格。
その宣戦布告!受けようじゃないか!
しょうたがめげずに写真を撮れたらしょうたの勝利、心が折れて泣いたらしょうたの負け。
いざ、尋常に勝負!!

そんなことを考えているうちにバスはケーブルカー乗り場に到着。 さあ、本戦の始まりだ!
しょうたと、同じバスに乗ったカップル三組、そして車か八幡駅からのバスで來たであろう4人を合わせた11人がケーブルカーに乗りこんだ。
増えたのは4人。偶数人。
もちろんカップル。

しかもその片方は正恩カットをしたちっくとっくとか好きそうなDQN (死語)。
男の方が「一人とかウケるwwwキモwww」
って、しょうたのことを笑っていたのを、あまりの浮きっぷりに「ひとり」という言葉に敏感になってカクテルパーティーを発揮したしょうたの耳は聞き逃しませんでした。
なにがおかしいんですか?と心の中で切れたけど、普通のアラサー11歳男子には恋人の2人や3人や、妻とセフレの1人や2人ぐらいはいるので、やっぱおかしいですね。

ケーブルカーが路線の中間地点付近まで進むと「すれ違います。」とアナウンスが入りました。
つるべ落としの要領で動いているので、必ず二両一組になっていて中間ですれ違う組みになっているのです。
無機物であるケーブルカーにすら相方がいるのにしょうたは一人っきり。
だめです。泣きました。

でも、これでも乗り換え先のスロープカーよりはマシでした……。
ケーブルカーでのお通夜のような8分間が終わり、スロープカーに乗り換え。
ケーブルカーと違って二台一組で動かないのでその点は安心だったけど、車内のいい立ち位置や座席は全てかプルどもに占拠され、しょうたは一人あまりものとして景色がよく見えない位置に押し込まれて立たされることに……。
班決めの日に休んで、まったく仲のよくないグループにぶち込まれたときの居づらさを煮詰めてさらに濃くしたようなすさまじい不快感に胸焼けします。
乗りつぶしといって国内のすべての鉄道路線を乗ることを目標とする鉄オタが結構いるそうだけど、彼らにとっての最難関は一日数往復しか走らない山奥のローカル線でも北海道や南九州の奥地のローカル線でもなく、リア充のカップルだらけで車内に足を踏み入れることも憚れるここだよね……。

もう帰りたい……。
ひとり焼肉、ひとり遊園地など難易度の高いソロ活も余裕で楽しむことができ、ぼっち耐性はかなり強い自信があるしょうたもさすがにここまでカップルがしかいない空間には耐えられません。
昔、友達と男同士二人で夜の福岡タワーに登り、その時もカップルだらけだったので二人でわざとらしく恋人同士みたいに振舞ってたら他の来場者から「ホモwww」と陰口を言われたときをも越える恥ずかしさです。

でも、往復の切符は買ってしまったし、夜景を撮影するまではインスタグラマーとして食い下がることはできない……。
あと3分だけ耐えれば展望台。
うん、がんばる……。

校長先生のつまらない話よりも長く感じられた3分をなんとかやり過ごし、ついにあの拷問のようなスロープカーから解放!!
しかも、折り返し便を待つ列に一人並んでいるスーツ姿のオッサンを発見!ついに見つけた!しょうた以外にも一人で来ていた人!
キミだけがしょうたの仲間だよ。

……ん、よく見たら手に指輪が。

カップルどころか既婚者じゃないか。裏切ったな!!

出張で北九州に泊まることになって、夜が暇だから遊山に来たとかかな……。
ああ、やっぱりこの山で独りぼっちなのはしょうただけなんだ!!
あんなに嫌な思いをしてここまで来たので、あの苦痛に見合うだけの質と量を備えた写真を撮りました。
いい写真はインスタに回したので、ここではネタになりそうなものを紹介するね。

心のきれいな人にだけ見える

これは、スペースワールドという九州を代表する遊園地です。
イオンアウトレットではありません。スペースワールドです。
心のきれいな人ならスペースシャトルやジェットコースターが見えるよね?

黒崎井筒屋跡

少し前に閉店した黒崎井筒屋の跡地。 前身の黒崎そごうの回転時のキャッチコピーは「まるで宇宙戦艦」だったそうですが、たしかに上から見るとそれっぽく見えるね。まあ廃墟なんだけど。

フルハウス

アーアーアーアー アッーーー!
写真を撮り終わったら、また地獄のような乗り物で下を目指すんだけど、最後の最後にいいものを見れました。
ケーブルカーで隣に座ったカップルの男がデート中だというのにインスタに夢中で、彼女が話しかけても無視している……。
彼もしょうた同様、一人の女を愛することより己の承認欲求を満たすことを重視しているようです。
これは破局が近いですね。
彼女のためにも二人が1日でも早く分かれられるように、先ほどの嫌な思い出がよみがえった時に溜め込まれた瘴気を「別れろ~。」と彼に送ってみました。

そんなんでなんとか山麓に帰還。
精神を展望台から飛び降りを考え始めるほどすり減らしながらも、無事写真の撮影に成功。今日の勝負、しょうたの勝ちだね!!
カップルに耐えたことで経験値が入りしょうたのぼっちレベルも上限のLV100に到達。もうどんな場所だって一人で行ける。どんなことだってひとりでできる。
おとなのホテルでひとりでご休憩しちゃうし、取説には危ないから二人でやってねと書いてある組み立て式家具の設置だって一人でできる。劇団だって一人で活動できる。咳をしても一人。
めっちゃ楽しい。ハッピーひとり。