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大沢木家の懐事情


大沢木家は金持ちではないのかという疑惑


今年で29年目を迎える週刊少年チャンピオンで連載中の漫画、浦安鉄筋家族。
浦安市に住む小学生、大沢木小鉄とその家族や友達のドタバタを描いたギャグマンガの金字塔です。

さて、この作品の中心となる大沢木家ですが懐事情が割と謎です。
父親の大鉄はタクシードライバーをやってはいるものの「めんどくせ~」と真面目に働いていないし、おまけに超ヘビースモーカーなのでたばこ代の出費もバカになりません。
そして母親の順子さんは4人も子供(うち一人は予備校生)に加えてチンパンジーのようなわけのわからないペットまでいるにもかかわらず専業主婦をやっています。裕福な存在として描かれているノブの母親もパート務めという設定なのに。
おまけに順子さんは優しいので隣の家で貧乏暮らしをしているのり子や生活力0の小鉄の担任の春巻先生に食事を振舞うこともあります。

一体大沢木家はどうやってこれだけの支出を賄っているのでしょうか?

Wikipediaにも
大沢木家は、基本的にこの自堕落な大鉄を唯一の稼ぎ手とする大家族であるにも関わらず(しかも莫大なタバコ代や自動車修理費がのしかかっている)、貧乏描写はほとんどなく、特に同業で核家族の西川家とは対照的である。もっとも家にクーラーはなく、順子が日々倹約に励むなど標準的な庶民描写となっている。
とまで書かれています。
パッ見だと中の下ぐらいの暮らしぶりですが、支出の多さに注目すると大沢木家はかなりの資産家ではないかという疑惑が出てきます。

支出額の試算

では大沢木家の懐事情について試算してみましょう。

まずは住居費から。
大沢木家の床面積は86平米という考察があったので、新築時の建物価格3500万円程度だと思われます。
大沢木家は築25年なので減価償却が5年残っているとすると資産価値は新築価格-(新築価格×0.9÷30×25)=875万円ということにしておきます。
また、浦安市内の低層住居専用地域の建蔽率は60%のことなので、1階部分の床面積を45平米と仮定すると、敷地面積は75平米程度。
浦安市内の住宅地の路線価は77.2万円ほどなので、そこから推測すると土地の課税価格は1800万円程度となります。

以上の条件から固定資産税の年税額の計算をしてみると……。

大沢木家にかかる固定資産税額は0.014×(875万円+1/6×1800万円)≒16万円となります。

ローンは既に返済済みだと思われるので無視することにします。
あら意外と少ない

でも、大沢木家は春郎(ニートの兄)のコレクションの重み1階が潰れたり、しょっちゅう壊れているので修繕費も考慮に含めないといけません
色々な破壊パターンがありますが計算がめんどくさいので年に2回屋根を吹き飛ばしていると仮定すると……
屋根の修繕費は大沢木家のような瓦屋根の場合4万円/平米なので、床面積から屋根が40平米あるとすれば1回あたり160万円。
壊れたところを直すだけで年間で320万円必要です。

続いて教育費を見てみましょう。
子供が大鉄のようなダメ人間に育ってほしくないのか順子さんは意外と教育にも力を入れているようで、春郎はニートとして描写されているものの一応浪人中の予備校生だし、毎度で桜も塾に通っています……。
予備校の授業料は年間100万円、高校受験塾は年間20万円程度なので、ざっと見積もっても年額120万円……。

食費はどうでしょうか?
大沢木家は7人家族ではありますが、のり子や春巻に振舞っている分を上乗せて7.5人分かかると仮定すると、節約しても月々7万円弱、年額85万円ほど。
さらに大鉄や春郎はよくファミレスに行っているし、順子ママも裕太と一緒にダイエーやヨーカドーのフードコートで食事をしていることが多いので、各人週1で外食していると仮定すると、650×50×3で年間10万円程度外食で使っているようです。
これに小鉄の友達に振舞われたり金鉄じいちゃんが食べているお菓子や宮崎危機の店でパン屋を買った代金まで含めると、食費だけで年間96万程度使っていると思われます。

この時点で大沢木家の年間支出額は552万円。
日本の世帯年収の平均額も552万円なので、この時点で平均的な家庭の年収は越えてしまいました

そして、大沢木家の支出を考えるうえで最も重要なものがヘビースモーカーの大鉄のたばこ代です。
大鉄は1日2カートンもタバコを吸っているそうなので、愛飲のキャスターマイルド(540円)でたばこ代を計算すると、
一日で10800円。
一か月で324000円。
1年で約400万円となります。

今挙げた金額に水道光熱費や通信費等も上乗せされるので、

大沢木家は最低でも年間1000万円の出費をしている

と考えて間違いないと思います。

大沢木金鉄上級国民疑惑

では、大沢木家ではどこからそれだけの支出を賄えるほどの金を得ているのでしょうか?
おそらく金鉄の資産を食いつぶしているものと思われます。

普段はボケ気味の老人として描写されている金鉄おじいちゃんですが孫を溺愛するばかり春郎に大量のお菓子を買い与えたり(春郎がデブになった原因)、骨董が趣味で200万円する壺を買ったことエピソードもあるなど豊かな財力を持っていることが示唆されています
それだけの金を普段から使っているなら、かなりの資産を隠し持っていると考えても不自然ではないでしょう。

そして、金鉄が持っているのは財力だけではありません。
過去に春郎が安心して学校に行けるようにするため住民運動を起こして歩道橋を建設させたこともあり、かなりの権力を持っていることもうかがえます
これはもう

ただの金持ちどころか上級国民

でしょう……。
現役時代は一流企業の重役でもしてたのかもしれません。

大鉄は実は高給取りだった!?

金鉄が資産家という可能性が出てきましたが、大鉄も結構な額の金を稼いでいる可能性もあります。
バブル真っただ中に始まったクレヨンしんちゃんで、庶民として描かれたはずの野原家がバブル崩壊によって上流階級になってしまったという話は聞きますが、それと同じ現象が浦安の中でも起きているのです。

大鉄はタクシーの運ちゃんですが、バブル期のタクシードライバーは一晩で数十万円稼げた時代を象徴する職業。好景気に浮かれた人たちはディスコや接待帰りに万札を振ってタクシーを呼び止めたと聞きます。
バブルを体験したタクシードライバーたちは週刊ポストのインタビューに対し
「一日の売り上げが7万~8万円で10万円を超える日も珍しくなかった。今じゃあ、半分以下」(法人)
「都内から逗子まで貸し切り往復12万円。狂っていた時代で、あんなことはもう二度とない」(法人)
などと答えています。

浦安鉄筋家族の連載開始は1993年2月発売の週刊少年チャンピオン1993年10号。連載の準備にかかる期間などを考えると1992年には作品の大枠は仕上がっていたことでしょう。
1992年は土地価格下落の兆候は出ていたものの、まだバブルの余韻が残っていて景気の悪化は表面化していなかった頃です。
そのため、面倒くさがり屋であまり真面目に働いていない大鉄も連載開始時にはそれなりの高給取りとして想定されていた可能性も排除できません。

では、バブルのタクシー運ちゃん基準で大鉄の年収を考えてみましょう。 現代の物価ですが普通のタクシーで20分ほど乗った時の運賃が2500円前後。
バブルの頃は客待ちしなくても客が寄ってきたとのことなので、不真面目な大鉄の実働時間が5時間程度だとしても
ずっと客を乗せていれば1日で4万円は稼げてしまいます。
週休2日で計算すれば、日収4万円×52×5で

年収は1000万超。

これならたばこ代も賄えるね!
「先生、質問です!!
なんでのり子の父親もタクシードライバーなのに、西川家はあんなに貧乏なんですか?」

いい質問だね。
のり子の登場は17発目からです。
1993年夏頃となると、景気の悪化が表面化してきた時期……。
ひょっとしたら西川家が浦安に引っ越した理由は、景気後退で仕事が減って博打の借金を返すあてもなくなり二進も三進も行かなくなったからかもしれません……。

おしまい

以上、大沢木家の懐事情についての考察でした。
初期の小鉄はあかねから野人扱いされていたけど、実は小鉄軍団において二番目に裕福なのは大沢木家なのかもしれません……。

金鉄は他の家族よりセリフや登場回数も少なくわからない部分が多いので、今後彼の過去についてのさらなる深堀りがあると大沢木家に関する謎がとけるかもね!