平成末期の塩顔ブーム

~もう一つの平成イケメン~

はじまり

つばさ:
しょうたくん、掲示板のリクエストスレに初カキコが来とるよ!

しょうた:
本当だ……。なになに……。

2 名前:中野陽人 2025/12/20 (Sat) 03:34:36
塩顔ブームをお願いします

……しょうたはVIPPERだから334には反応しないけど、名前を見たら中野お兄さんじゃないか!

つばさ:
中野お兄さんって、たしか……ひき逃げ犯みたいな顔してて、毎年サーバーの契約更新の時の支払いを忘れてサイトを落とすしょうたくんの従兄よね。
今年はすぐに気づいて半日で復旧したからよかったけど……。

八田與一

八田與一

歩く800万円

しょうた:
そうそう。
……って、八田與一について触れたらだめだよ。本当に八田與一に間違われて電車を降りたら改札で警察官が待ち伏せしていて捕まったことを気にしているから……。
羽生結弦とか、坂口健太郎とか、バカリズムとか、酒飲んだら日本一可愛い男とか、そこは美化していいたとえにしようよ。

中野お兄さんも、流行の服が顔に似合わなくて服を探すだけで一苦労してるし、着る服のセンスは平成末期で止まっていて生きた化石になってるし、まあいろいろと悩みが多いみたいだから気遣ってあげて。

つばさ:
……全部顔関係の悩み。
なるほど!さては、塩顔を再評価することで自己肯定感を取り戻しくなって塩顔ブームをリクエストしてきたんやね~。
ちょっとかわいそうだし、今年はすぐにページも復旧したけん、それに免じてリクを聞いて塩顔について特集しようか。

しょうた:
うん!
じゃあはじめよう。

塩顔ブームのはじまりとその終わり

「平成イケメン」というときに一般的に想像されるのは、金髪や茶髪のウルフでシャギー入れまくってたり、外ハネのギラついたギャル男……ですが、飽きが来たのか平成20年前後からさっぱりした顔たちのナチュラルめの男性の人気が出始めました。
その嚆矢となったのが、塩顔ブームでより塩顔な男子が増えた現代では醤油顔に分類されることは多いですが、佐藤健や向井理などです。

トレンドは少しづつ変化していましたが、塩顔ブームが本格的に始まるきっかけになったのは平成23年の年末に発売されたJUNON1月号に掲載された「徹底解剖 We 萌え 塩顔男子」特集だったと言われています。

徹底解剖 We 萌え 塩顔男子

徹底解剖 We 萌え 塩顔男子

JUNON1月号「徹底解剖 We 萌え 塩顔男子」

これによって塩顔という言葉が定着し、平成25年に入ると、雑誌やテレビでも塩顔がモテ顔として頻繁に取り上げられるようになりました。

しかし、平成末期になると塩顔の概念はすっかり定着し、塩顔の若手俳優が増えて特別感も無くなったため、コロナ禍を経て令和の現代まで続くような、より中性的で目力の強い感じの男性に人気は移行してしまったのでした。
悲しい出来事でしたね。
とはいえ、塩顔も「清潔感ある顔」として一定の地位を築きいて、かつてのブサイクの汚名は返上して、現在ではその称号は石原軍団のような昭和の老け顔に贈呈されています。 (贈与税免除)

なお、よく参政党に賛成していそうなおぢさんが「日本男児らしさが失われた!塩顔はK-popの陰謀だ」と塩顔男子に嫉妬して陰謀論にのめり込んでいましたが、当時はまだ韓流はオヴァさんの趣味の時代だったし、塩顔からとってかわった「令和イケメン」がK-pop由来なので、違うと思うっちゃね。
だいたい、日本男児とか言ってますけど、戦後アメリカにかぶれて老け専になっただけで、浮世絵や大正時代の竹久夢二や高畠華宵の絵を見ればわかるように日本人にとっての本来の男性の理想像は塩顔です。

ブーム前半と後半の微妙な違い

塩顔ブームは、いかにも平成なギャル男が幅を利かせていた時代から現代への地殻変動が起こっていた時代の過渡期。
5年ちょっとという期間ながら、そのファッションスタイルはブーム前半と後半で差がありました。

全般

あっさりした顔に合うように、色づかいはシンプルで男くさくもない服装が塩顔男子の鉄板、かつ塩顔時代のトレンドでした。

ブーム前期から後期まで共通して人気だった服は、夏は白と青のボーダーシャツ、冬は明るめの色調のチェスターコート。
髪型はナチュラルショートが定番でした。

前期

一般的にイメージされる「平成イケメン」との過渡期だったため、平成イケメンと似た雰囲気のファッションを塩顔流にアレンジしてきていました。
たとえば、夏は「木こりファッション」ながらも、重厚感のあるジレではなくカーディガンを合わせてみたり……。
髪型でいえば、当時はパーマかけてウルフにしてワックスで盛り盛りのミディアムな派手髪が当たり前だったので、過渡期の髪形としてミディアムヘアながらも派手にしすぎない無造作ヘアが取り入れられていました。

後期

塩顔ブームも後期になってくると、BTSの日本デビューなどでK-popが若者の間でも広がり始め、その影響でツーブロマッシュが激増しました。
マッシュヘアの若々しい方向に寄せられて服もよりカジュアルな方向に進んでストリート系のファッションが復権し、春~秋ファッションとしてパーカーやスタジャン、シンプルな白Tなどが流行るようになりました。
大学生以上やオシャレな高校生はセンターわけやチルい服に変わってしまったけど、現代でもいちおう中高生にありがちなファッションとして残っていますね……。

一世を風靡した塩顔男子たち

塩顔ブームの中一世を風靡した塩顔男子を何人か紹介します。
これが平成末期イケメンだ!


①坂口健太郎

坂口健太郎

坂口健太郎

MEN'S NON・NO (平成26年)

平成22年にMEN'S NON・NOの専属モデルとしてデビュー。
平成26年には、所属モデルとしては20年ぶりの単独表紙を飾る快挙を達成。
同年に映画デビューを果たし俳優活動もはじめ、時代を代表するイケメンとなりました。


②綾野剛

綾野剛

綾野剛

「空飛ぶ広報室」 (平成25年)

クールでミステリアスな色気と妖しさが魅力的な綾野剛。

塩顔が評価されなかった10年代初頭までは個性派俳優 (婉曲表現) として悪人役での出演が多かったものの、塩顔人気が高まりつつあった平成24年の連ドラ「カーネーション」出演がきっかけでイケメン俳優として大ブレイク。
様々な役柄で多くの映画やドラマで活躍しています。


③星野源

星野源

星野源

「逃げるは恥だが役に立つ」 (平成28年)

彼も綾野剛同様塩顔が評価されなかった時代は個性派俳優 (婉曲表現) 扱いでしたが、流行の変化ですっかりイケメン俳優として時代の寵児に!
ガッキーと共演した逃げ恥は大ブームになりました。
俳優活動と合わせて音楽活動も行い、紅白にも出場するなどそちらでも存在感を表しています。


④Fukase

Fukase

Fukase

世界の終わり「ファンタジー」MV (平成22年)

セカオワのボーカルのFukaseくんも塩顔。
線が細く影のありながら少年のような顔は、セカオワの雰囲気にも合っていました。


⑤羽生結弦

羽生結弦

羽生結弦

ソチオリンピックにて (平成26年)
画像引用元:時事ドットコムニュース「2014年 ソチ冬季五輪 日本のメダリスト

フィギュアスケートの羽生結弦選手も塩顔イケメン。
氷上の貴公子として熱狂的なファンを大量に生み出しました。

その美貌から、スポーツ選手が出がちな寝具だけではなくロッテや全日空のTVCMにも出演したり、塩顔を活かして殿様役で映画に登場するなど、スケート以外にも幅広く活躍しました。


⑥神木隆之介

神木隆之介

神木隆之介

「るろうに剣心」瀬田宗次郎。ハマり役でした。 (平成26年)

子役時代から変わらない親しみやすい雰囲気と、高い演技力で老若男女を虜にしてきた神木隆之介くん。
「バクマン。」「桐島、部活やめるってよ」など、多くの映画やドラマに出演し、国民的俳優となりました。

まとめ

代表的な塩顔イケメンを紹介しましたが、最近グレてしまったFukaseくんを除くと、昔の写真なのにみんなあまり変わっていない気がしませんか?
今の羽生結弦が30代男性と聞いて信じられますか?
神木くんなんて、32だというのにいまだにドコモのCMで高校生役をやっているよ……。

もちろん芸能人でお肌に気を使っているだろうけど、それを差し引いても塩顔はもともと平坦で顔に影ができにくいうえに、目も開口面積が小さく負担がかからないので老けないのです。
なんなら、一般人だと若いうちは瞼に脂肪が詰まっていてパンパンで、やや老けた方が脂肪が落ちることで目が大きくなっていい感じになるパターンも起きてしまうのが塩顔です。
塩顔ブームは過ぎ去ったとはいえ、若々しさを武器に、塩顔イケメンたちは令和の世でも活躍していくことでしょう。

平成イケメンといえば、手越くんや赤西仁など00年代のイメージが強いけれど、平成末期に一世を風靡した塩顔男子たちのことも「平成イケメン」として記憶されてほしいものです。