人類は今年も滅亡するようです。
~平成を騒がせた人類滅亡説~ひなた:
「5月9日の大祖国戦争の記念日に合わせて核戦争が始まって世界滅亡とか、そこまで行かなくても日本に宣戦布告して北海道侵攻とか言われていましたね。
もしロシアが日本を攻撃するなら、北海道、新潟、仙台だけでなく各地の自衛隊の拠点も危ないと思ったので、破壊される前の呉市の最後の姿を残しておこう (縁起の悪いこと言うな……) と呉に行ってきました。」
(・∀・)ニヤニヤ
しょうた:
きゅ、急に半年前のしょうた旅の冒頭を読み上げ始めてどうしたんだよっ。
なんか恥ずかしいじゃん!
ひなた:
しょうたはいちいち怯えすぎなんだよな~と思ってさ。
そんなんで核戦争なら人類は毎年滅亡しているぞ。
もっと気軽に生きようぜ。
しょうた:
人類は毎年滅亡……。
……そうだよ?
平成の頃はみんな何かと理由を見つけてきては毎年のように人類が滅亡するって言ってたよ!
アンビリーバボーや改変期の2時間特番でも人類滅亡系の予言の特集とかやってたし……。
ひなた:
……テレビでも人類滅亡の話をするって、ひょっとして平成人ってバカなのか?
しょうた:
うん。バカだよ。
でも、ディープステートの排除を求めて議会に乱入したり、参政党を国会に送り込んでしまう現代人には言われたくないな。
ひなた:
そう言われてみると今も大概な気がするな……。
ところで、平成の人が飛びついた人類滅亡の予言ってどんな感じだったんだ?
しょうた:
いい質問ですね。
じゃあ、今日は平成のお子たちを怯えさせた人類滅亡説を振り返っていくよ!!
ちゆ12歳おねいちゃんでもお馴染みなのでご存知の方も多いと思いますが、マガジンミステリー調査班のキバヤシ隊長が様々な陰謀論や予言について科学的見地 () から検証し、飛躍した論理で「人類は滅亡する!」と結論を導き出すさまを「な、なんだってー!」とツッコんで楽しむスタイルの新感覚ギャグ漫画です。
そんなMMRで定番のネタとしてよく使われていたのがノストラダムスの大予言。
あまりにも有名だから細かく説明する必要はないと思うけど、1999年7月に恐怖の大王が降臨するというあれです。
MMRでは定番のギャグ扱いだったものの、日本で知られるようになった頃はオイルショックやベトナム戦争などの社会不安を背景に本気で信じる人も多く、オウムをはじめとするカルト教団が恐怖の大王からの救いを掲げることで教勢を拡大するなど社会にも影響が及んだそうです。
しかし、実はノストラダムス本人は人類滅亡なんて一言も言ってないし、1999年以降のことも予言しています。
では、なぜノストラダムスの大予言は人類滅亡説として広がったのでしょうか?
それは、大予言が知られるきっかけになった「ノストラダムスの大予言」というタイトルそのままな本を記した五島勉という三流ライターが、ノストラダムスの予言詩の内容を自己流に解釈して紹介したためです。
日本で「人類を滅亡させる何か。」として恐れられた恐怖の大王も、欧米の研究者の間では「アンリ1世を思わせる君主。」「ルイ15世を思わせる君主。」といった、強大な君主という解釈が一般的なんだとか……。 (この解釈だと、1カ月ずれがあるけど1999年8月に首相に就任したプーチンが恐怖の大王の正体だったのかな~。)
なんかキバヤシ隊長の科学的検証と同レベルですね。
キバヤシこと樹林編集は読者を楽しませるためのギャグとして予言を取り上げたのに対し、五島は大予言をシリーズ化し、「解決策が載ってる。」と続編を買わせるために不安を煽ろうとした金の亡者なので、両者の人間性は雲泥の差なのですが……。
批判的な紹介の仕方だな。
しょうたは心霊現象とか怪奇現象とかそっち系のオカルト話は大好物だけど、陰謀論と他人が金を儲ける様子を見るのは大嫌いだからね。
この先も陰謀論絡みの人類滅亡説に対しては冷たい目線で紹介していくよ。
その割には核戦争におびえたり、陰謀論に乗せられている気がするんだが。
11歳児のピュアな心を持ってるから話を聞いたその場では雰囲気に圧倒されて信じちゃうんだよ!
こうやって純真無垢なお子達をカモにしてくるから陰謀論者は好かんっちゃ!
しかし、すぐにわずか5カ月ほどで次なる人類滅亡の危機が訪れる。
2000年問題
大昔のプログラミング言語では年数を表記する際に西暦の下二桁だけで管理していたため、2000年を迎えると古いコンピューターが2000年を1900年とみなして様々な不具合や誤作動を起こすことが懸念されていました。
通信機能の停止はもちろんのこと、電力・水道といったインフラの停止、金融市場の混乱、ミサイルの誤発射。さらには2000年問題による誤作動を装って故意にミサイルを発射する国家の出現も心配されていたそうです。
そして迎えた2000年1月1日。
福島第二原子力発電所の警報装置の誤作動や、水戸駅のオレンジカード券売機の不具合など一部でトラブルは起きたものの、社会に影響を及ぼすようなことは起きず人類は無事2000年を迎えました。
2000年問題そのものは何事もなかったけど、2000年問題に便乗したインターネットウイルスが出回ったり、「2000年問題の不具合に備えて。」と銀行口座や暗証番号を聞き出す詐欺が発生したり、副次的な影響はあったみたいだよ。
犯罪者にとっては人類滅亡も飯の種ってわけか……。
「TVタックル」「週刊ポスト」をはじめとする様々なテレビ番組や週刊誌で「90%の的中率の予言者」として特集が組まれ地震予知をはじめとするさまざまな予言が紹介されたのはもちろん、書籍が出版され、「ジュセリーノの友の会」なる団体のてびきにより本人も来日。はては国会議員との面会、そして、下村博文元文部科学大臣や元民主党副代表の増子輝彦といった国会議員による肯定的な評価まで行われました。
そんな彼は「2043年に人類は滅亡する」と予言し、一瞬だけ世間で騒がせます。
しかし、視聴者に飽きられたり、予言の的中率が落ち始め、2008年末頃にブームは収束。ほどなく彼は過去の人となり、予言も忘れられたのでした。
2043年が近づいてきたら再び陽の目を浴びるのでしょうか……?
下村文部科学大臣って統一教会とのかかわりでも騒がれてたけど、オカルトとかそういうのにハマってしまうタイプの人なのか?
うん。総武線のドアの広告でおなじみの霊能者とか、EM菌 (あらゆる病気を治すことができるとされている菌。もちろんそんな効果はない。) とか、江戸しぐさ (一時期ブームになったが、「明治政府による江戸っ子虐殺。」「江戸っ子は第六感を持っていた。」など訳わかんないことを言ってる。) とかとも関係があるみたいだよ。
人工地震や反ワクを信じてるぽっぽといい勝負だな……。
文部科学大臣より疑似科学大臣を名乗ったほうがいいんじゃねーの?
しかし平成、特に原発事故直後は、メルトダウンという未知の出来事に直面して社会全体がパニック状態となり、ヒカキンの過去ツイのようなさまざまな憶測、風説、デマが飛び交いました。
既に原発事故が歴史の1ページとなった現代の感覚で当時を振り返ると、わざわざ混乱を助長するような発言をするなよとの思いしか出てきませんが、事故直後には最悪の事態として原子炉が破壊され原発170キロ圏が立ち入り禁止地域に、さらに東京横浜を含む250キロ圏が避難地域になり5000万人が避難対象となるというシナリオも想定され、それがどこかから漏れたぐらいなので人々が不安を覚えるのも無理もないと思うっちゃね。
こうした中、恐怖を煽るとして問題になったAERAの「放射能がくる」のように原発事故をめぐる言動は報道・ネット言論問わず日増しにエスカレートしていき、ついには「東京がやられて無政府状態になった日本を米中露で分割統治。」といった話や、「大気中に大量に放出された放射能によって遺伝子が破壊されて癌や突然死が激増。生殖機能も破壊され子どもも生まれなくなる。」という人類滅亡説まで飛び交うようになります。
当時しょうたが通ってた塾の先生も、福島から遠く離れた九州に住んでいたにもかかわらず週刊誌や2ch (ニュー速?) で怪しい情報を仕入れては「おれたちは長生きできないかもしれない。」って怯えてたな……。
原発事故そのものもだけど、パニックが起きた時の群集心理も怖いな……。
社会が福島関連の発言に対して多少過剰なくらい敏感になってるのも、エスカレートしてこんなことになった過去があるからなのか。
うん。それはそれで本当に危険なもののリスクに関する話も伏せられたりして弊害もあるとは思うけど、震災後数年は「人類滅亡」レベルの話まで飛び交ってすさまじい風評被害があったからね……。
災害とかで不安になってしまうのは仕方ないと思うけど、冷静に正しい情報を収集してパニックを起こさないことは心がけておきたいよね。
古代マヤ文明で用いられていた長期暦という暦が途切れていたことから、2012年12月21日から23日ころにかけて世界の終わりが訪れて人類は滅亡すると言われ、テレビや雑誌でもしょっちゅう取り上げられたのはもちろん、これを題材にした映画まで作られたりしました。
今思い返してみると、一部の予言は的中させたことのあるノストラダムスと違い未来を当てた実績のないマヤ暦がなぜ話題になったのかよくわかりませんが、たぶんノストラダムスの予言が終わって新たなネタを探していたオカルトマニアの心を射止めたんでしょう……。古代文明って浪漫あるじゃん?
ところで暦が終わっていることに関して、世界の終わりではなく古い時代が終わって新たな時代が始まると解釈した人もいたんだけど、しょうたはこっちに関しては当たってると思うっちゃね。
そのころなんかあったっけ?
スマホの普及が一気に進んで、仕事の道具か玩具だったインターネットが日常生活と不可分なものになったのがちょうど2012年から2013年ぐらいだね。
しょうたがよく使う平成の死語を借りると「ユビキタス社会」が到来したってわけか。
数年に一度「地球に衝突する!」と騒がれては何事も起こらないというのが彼らの間での恒例行事だったようで、日本でも平成15年に「パナウェーブ研究所」なる宗教団体の信者がニビル衝突から逃れるために福井県に向けて白装束で大移動するという騒動を起こしています。
そんなニビルが一気に有名になったのは平成29年のこと。
カリフォルニア工科大学の研究者らが太陽系第9惑星 (冥王星とは別だよ。) が存在する間接的な証拠を発見するという偉業を成し遂げたのですが、この太陽系第9惑星がニビルと混同されニビル実在説が普及。
噂話には尾ひれがつくものなので、ほどなく話は「2017年10月にニビル (惑星Ⅹとされることもある。) が地球に衝突。」と人類滅亡説への飛躍を遂げてしまいました。
アメリカでは結構なパニックになったのか、ニビルは実在しないことに関する論文を公開するなどNASAが事態の収拾をはかったようです。
陰謀論者にハマるようなヴァカに論文を読めるほどの学力はないと思うので、あまり効果ない気もするんだけど……。
こんな話にもいちいち付き合わないといけないってNASAも大変だな。
まあディープステートのアジトだって何の変哲もないピザ屋が襲撃されるような国だから、よくあることなんじゃないかな……。
なあ、もしかするとアメリカってオレたちが思ってるより数倍ヴァカでダメな国なのか?
しょうた:
今日は平成を騒がせた人類滅亡説について見てきたけど、どうだった?
どれが一番怖かった?
ひなた:
人間かな~。
人類滅亡説を犯罪や詐欺の道具にしたり、パニックから勝手に人類滅亡説を生み出したり、文部科学大臣が疑似科学大臣になってたり。
しょうた:
たしかにそうだね……。
昔、有名な陰陽師も「辛い時悲しい時にできた心の闇に魔物たちが入って来る。」って言ってたし、人類滅亡説につけこんでくる存在が一番恐ろしい存在なのかもしれないね。
ひなた:
上手くまとめたな!
オレも変な人につけこまれないように強い心をもって生きていくことにするよ!
しょうた:
上手くまとめたんじゃなくて、さりげなくインターネット老人会ネタを入れてふざけてまとめたつもりだったけど、現代っ子にはわかんなかったか……。
ギャグをギャグとして受け止めてもらえずマジな反応をされると精神的に来るものがあるよ……。
うううう。
こんな時代にしょうたの居場所なんてないからやっぱり人類はニビルに滅ぼされてればよかったんだぁ!!!