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エレクトリカル・ディスコ

~いつの間にか聞かなくなった家電量販店のテーマソング~

はじまり

つばさ:
コジマコジマコジマワールド♪
イッツハッピー安いもあるぞ♪

しょうた:
なに一人でコジマの歌を歌ってるの?
なんか微妙に歌詞が違うし……。

つばさ:
ドキドキビクーン!
しょ、しょうたくんいつからそこにおったん?変なところ見ないでよ~。

しょうた:
面白いから気づかなふりしてたけど、「てってれてっててれてれてん、てんてんてん」ってイントロも一人で再現してた時からず~っといたよ。

つばさ:
ドッキンドッキンバコーン!
間違えた歌詞のコジマの歌をイントロ含めて熱唱したおかしな子と思われてしまった。
恥ずかしくてもう生きていけない。死のう……。

しょうた:
落ち着いてよ……。
家電量販店の歌ってフィッツの噛むんとふにゃんふにゃん並みに耳に残るから、歌いたくなる気持ちはわかるよ。
しょうたもベスト電器の歌を歌ってコーラスの「ベスト―ベスト―ベストー」まで裏声で歌ったりするし。

つばさ:
みんなそういうもんなのかな……。
でも、ベスト電器ってチョイスが渋いね!

しょうた:
むっ。
新しくなる前のビックカメラの歌も歌ったりするよ。

つばさ:
新しくなる前?
ビッカメの歌って「不思議な不思議な池袋~」じゃないと?

しょうた:
それが最近ビックカメラのテーマソングが人間には歌えないような早口の新曲に変わって「不思議な不思議な~」は流れなくなってしまったんだ……。
せっかくだし今日は平成のころはよく流れていたけどいつの間にか聞かなくなった家電量販店のテーマソングでも振り返ってみようか!

(旧) ビックカメラの歌

「不思議な不思議な池袋」からはじまるお馴染みだったビックカメラのテーマソング。
池袋駅で遭難した時「東が西武で西東武」の歌詞に助けられた人も少なくはないはずですが、その西武百貨店が自宅まで押しかけて派遣社員を殴る不思議な不思議な企業文化を持つヨドバシカメラに乗っ取られることになったので、敵に塩は送れないと人間には歌えないような早口の曲に変わってしまいました。カラオケverは一応まだ流れてはいる (H35年9月末時点) けど、それもいつまでか……。

ビックカメラにはとらのあなの虎娘ちゃんズやゲのマのズのGGF (そんなものはなかった。いいね?) よろしくビッカメ娘というキャラが店ごとにいますが、(旧) ビックカメラの歌も主要店舗にはオリジナルの歌詞が設定されていました。各店や地域のことを大切にするビックカメラの姿勢が表れて好印象です。しょうたはビックカメラ派だからヨイショするよ。
これらのご当地歌詞はお客様の応募によって選ばれていました。中でも、最初にオリジナル歌詞が導入された5店舗 (横浜、名古屋、なんば、天神、札幌) の採用者には100万円分のポイントが贈られたんだとか……。大盤振る舞いすぎるぅ。
まあ、そんなご当地歌詞も、不思議な不思議な池袋諸共消え去ってしまいましたが……。昨年 (H34年) オープンした熊本店にオリジナル歌詞がつかなかったのは今思うとこの曲を廃止する前兆だったのか……。
悲しい出来事でしたが、ビックカメラのことだから、今の曲にもご当地歌詞を設定してくれることを期待しています。。

でも、池袋は不思議なことばかりなので、問題になる「東が西武で~」の歌詞だけ替えればよかったのになーとも思うっちゃね~。西に向かって伸びるのに東武「東」上線なのも変だし、そもそもの東武鉄道って社名自体川越や東松山は武蔵国の西の方だからおかしいじゃん。

ヤマダ電機の歌

「なんで寺院に機械があるんだよ!」でミーム汚染されてしまったことも記憶に新しく現役バリバリのイメージがあるヤマダ電機のテーマソングですが、最近のヤマダは大塚家具を乗っ取ったりしてかつての安売り店からちょっといい店へのイメージチェンジを図ろうとしているので安売り全開のテーマソングを流すのをやめてしまいました
今までのエンドレス放送が嘘のように止まって代わりに電気屋感0の羊文学の曲が流れている現在のヤマダの異様な光景には党幹部が次々に消えていき、フォトショップによってかつてその人物が存在した事実すらも消されていった大粛清時代のソ連のような不気味さを感じますが、おとわっかによって風評被害を受けていることを考えたらなくして正解だったのかも……。

あまりにも有名すぎて曲について説明することはないと思うので、作詞作曲者のことでも書きましょうか。
メインで歌っているのはこの曲の作曲者でもあるアニメシンガーのMojo氏。しょうたは特撮は全然見てこなかったのでよくわかりませんが、特撮界では有名な人だそうです。
作詞はヤマダ電機とゆかいな仲間たち。ゆかいな仲間たちって誰だよ!と思うけど、多分さまぁ~ずです。最後の「ヤマ~ダデンキ」は実は大竹がヤマダ電機のCM撮影中に口ずさんでいたメロディーが気に入られて採用されたんですよ。

デオデオの歌

デオデオは、平成9年にダイイチの社名変更によって誕生し、平成24年に色々吸収してエディオンに進化して消滅した西日本を地盤とした電気屋です。平成に生まれ平成のうちに消えており、平成という時代を代表する店といるでしょう。
そんなデオデオはテーマソングも平成の電気屋ソングのお手本みたいな曲

イントロのジャッ、ジャーンの音圧だったり、キラキラした間奏だったり、子供の歌声だったり電気屋ソングの要素がすべて詰まってます。
子供の歌声、これ重要な平成の電気屋ソング要素ですよ。ビッカメもヤマダもエディオンも新しいテーマソングでは大人の女性の声になってるけど、子供が歌ってたでしょ?
一体なぜ平成の電気屋はこぞってお子達にテーマソングを歌わせたのか……?子供の純真無垢なイメージを使うことで「安い」とかのPRポイントがよりそれらしく信じられるようにして洗脳の効率化をはかろうとした……とか?
でも、デオデオの歌は子供に聞こえているだけで実は歌ってるのは子供ではありません。
なんと歌声の主は

声優の大谷育江さん

一応知らない人のために説明しておくと、ガッシュ、光彦、コラショなどを担当した有名声優さんなのです!

今のエディオンのテーマは田舎の農協で流れていそうなダサい曲なので、歌詞のデオデオの部分をエディオンに変えてこの曲復活してくれませんかね~。「あれもエディオンこれもエディオン」でもリズム的には問題なく歌えるし。
無理ならイシマルとエイデンの歌 (後述) でもいいよ。

ベスト電器B!Bの歌

ベスト電器は21世紀に入ってから迷走していた。最終的にヤマダ電機に乗っ取られてしまったが、デオデオと提携したり、関西のジョーシンと提携したり、ビックカメラと提携したり、とにかく迷走していた
そんなベスト電器が迷走の果てに突然ベスト電器からB!Bに店名を変えたかと思ったらすぐに元に戻すというよくわからないことをやったのですが、このB!Bには専用テーマソングも作られB!B化した店では狂ったように流れていました

安っぽいスカにアレンジした幸せなら手をたたこうの替え歌で、「すご~い!」とか「え~~~!」とか合いの手がウザいことを除けば疾走感と希望に溢れた家電量販店ソング界の隠れた名曲だとしょうたは思うっちゃね。ビックカメラにも見捨てられて沈みかけの泥舟と化していたベスト電器をB!Bでなんとか立て直すぞという意気込みがこのような希望溢れる曲を生んだのかもしれません。
その分洗脳効果はあまりない……と思いきや、最後のサビで知性を失ってB!Bの連呼が始まるのでメロディと一緒に店名も覚えられるはずです。

ラオックスの歌

観光バスに乗ってやってくる外国人でいっぱいぱいの免税店のラオックスは元々は秋葉原の老舗電気屋でした。経営いっぱいいっぱいぱいになって、お金がいっぱいぱいぱいの中国人に買われて電気屋から免税店に鞍替えしてしまったそうです。

そんなラオックスも電気屋だった頃にはテーマソングを持っていました。カーニバルとカントリーが融合したようなメロディにのせてあらゆるものに対して「いっぱいぱ~い」と言うだけの家電とはほとんど関係ない変な曲でしたが……。「ビールいっぱいいっぱいぱいのお父さん」ってお前居酒屋かなんかか? でも、「いっぱいぱいぱい」というフレーズはしっかり頭に残るので電気屋ソングに相応しい洗脳効果は十分発揮してますね。

ビールいっぱいお父さんのイメージに合うような声で歌ってるオッサンの正体は作詞・作曲者した小林亜星さんご本人。写真見たらビールいっぱいお父さんそのものな見た目してるし、どさくさに紛れて自分のこと歌に入れたでしょ? ちなみに、この小林さんは「あなたとコンビにファミリーマート♪」や寿屋百貨店の歌なども手がけたCMソング界のレジェンド作曲家ですごい人みたいですよ。電気屋らしくないこの曲がちゃんと洗脳効果を備えているのもレジェンドの技のおかげですね。

(新) イシマルの歌/エイデンの歌

家まで押しかけて派遣社員を骨折するまで殴打するヨドバシカメラが秋葉原電気街の反対側にバカデカい店を建てたり、つくばエクスプレスがヨドバシ側に開業した影響で秋葉原駅周辺の人の流れが変わったため00年代半ばに先述のラオックスをはじめとする電気街の老舗電気屋が次々に潰れていきました
秋葉原の象徴だった石丸電気も例外ではなく、経営悪化のため名古屋の電気屋のエイデンの傘下に入り、店名はローマ字表記のishimaruになり、ロゴは「ishimaru」のどこにも含まれていないアルファベットの「e」になり、テーマカラーは赤から青に塗り替えられ、変わり果てた姿になってしまいましたが、この時にテーマソングも一緒にリニューアルされました。

メロディはこれまでのものを踏襲したものの、経営不振で大量にあった店舗の閉鎖が相次いで規模が縮小されたためなのか有名な歌い出しのフレーズ「でっかいわ」が「わっくわく」になるなど歌詞が微妙に変更され、曲調も現代風にアップデートされました。
……が、アイドルの聖地であったイシマルソフト館 (平成23年閉館) のライブで石丸電気の歌が歌われる時も、テレビで芸人が真似をする時も元の「でっかいわー」が使われ続けまったく浸透しませんでした。そして、イシマルがエイデン傘下になってからほどなくしてイシマルを乗っ取ったエイデンもデオデオの軍門に下り、エディオンが爆誕。イシマルは消滅しましたが、最後までこの新しいテーマソングは定着することはありませんでした。秋葉原に思い入れのあるオタクたちからの評判も「嫌い。」「やる気のない歌声。」と芳しくなく、半ば黒歴史扱いされているようです。
悲しい出来事でしたね。

ちなみにこの新バージョンのイシマルの歌はイシマルの部分をエイデンに変えてエイデンにも逆輸入され、名古屋に秋葉原の風を吹かせていました

ハローソフマップワールド

ソフマップは現在も盛業中ですがいつの間にかテーマソングは流れなくなりましたね。同じビックカメラグループでも曲名も曲調も似たようなコジマのテーマは現役バリバリなのに、悲しい出来事です。
もしかしたら、生乾きチェックシャツを着たピザがうろつくオタッキーな雰囲気と遊園地で流れてそうなこの曲の落差が生み出す位置エネルギーが大きすぎて危険と判断されたのかもしれません。
歌詞も

心と心をを響かせあって愛を歌おうよ

とかリア充してるし……。
まあ店名にゲームが入ってるのに

TVゲームや漫画ばかり外にも出ないで過ごしたらlonesome boy

と歌ってしまったオタクショップもあったぐらいなので、20世紀末ぐらいまでのオタク経済の中枢部にはまだ一般社会と同じようなリア充志向はあったのかもしれません。
20世紀末?そう、実はこの曲は相当昔からあるんです!1989年頃のソフマップ店内放送を収録した音源でもバキバキ音質でリピートされているので平成が始まったころにはすでに存在していました。しかも、ごくまれに流れている聞いたら得した気分になれる英語ゴスペルverまで一緒に収録されているので既に存在した模様。現代でも通用するようなクオリティの曲なのでそんなに昔からあることには驚きですね。

長年にわたってオタクから親しまれた「ハローソフマップワールド」。
お店では流れなくなってしまいましたが、ネット黎明期や楽しかったころの秋葉原の象徴としてあの頃のオタクたちの心の中では今もリピートされていることでしょう。

ハートでさくらや

荻窪駅前の商店街にあるカメラ屋のさくらや。何も知らないとどこにでもある町のカメラ屋にしか見えませんが、かつてはヨドバシカメラ、カメラのドイ (廃業) と並びたって新宿三大カメラ店と称された東京を代表する家電量販店の一つでした。経営悪化によって一時期ビックカメラグループになっていたベスト電器経由でビックカメラに転換され、別法人が運営していた荻窪店だけが奇跡的に生き残ったようです。

そんなさくらやも家電量販店だった頃は「ハートでさくらや」というテーマソングを持っていました。洗脳する気満々の他の家電量販店とは毛色が異なり平成初期のアイドルソングを思わせる落ち着いた雰囲気の優しい曲です。作られたのもおそらくそのくらいの時期なのでしょう。
この曲なんですが、サビのメロディが平成の日本人なら全員聞き覚えあるであろうものになっています。

愛の花咲くさくらや~

わかりますか?
平日のお昼に聞いた覚えないですか?

きっと明日はいいトモロー

「笑っていいとも!」じゃねーか!

在りし日のさくらやは「いいとも」のオープニング映像にも登場したり、首都圏地区ではスポンサーにもなっていたり、「笑っていいとも!」と関係が深かったので、意図的に寄せたのではとの説もあるようですが真相は不明。
……というわけで、今回のしょうたメモはいつの間にか聞かなくなった平成の電気屋のテーマソング特集でした。
みんな、あしたも読んでくれるかな!?
公開 H35-09-25
加筆修正 H36-01-28