学校


36-06-28

平成20年代前半のDKがバッグに入れていたもの

世のy2kブームでスクバ (スクールバッグ) が復活しているらしいです。
渋谷109にあるようなブランドも作っていてファッション性も高いし、再評価されてしかるべきものだと思うっちゃね。
さて、そんなスクバの流行った時代から少し後の平成20年代前半の高校生の間では、スマートでデザイン重視なスクバとは対照的に実用性重視でデカくてゴツいエナメルバッグ (鈍器) が流行っていました

スクバはもちろん現代の高校生のスタンダードアイテムのホモランドセルと比較してもデカいバッグに一体何入れてるんだ?って話だけど、あの頃の高校生は教科書以外にも色々なアイテムをバッグに入れていたのです。
ということで、今日は平成20年代の男子高校生が何をアレに入れていたのか振り返ってみます。

①携帯音楽プレイヤー

まだガラケー派やガラケーすら持ってない人もいたし、スマホを持っていても通信環境が今ほどよくなくて気軽にYoutubeを開けたわけではなかったので、音楽を聴くためにウォークマンや今はなきipodを持ち歩いていました
ウォークマンと言っても世間一般が思い浮かべるMDのアレではなく、NW-S730F系のメモリー式ウォークマンです。
既にMDは家のプレイヤーで中学の時 (まだウォークマンを持ってない頃) に録音した曲を聞くときぐらいにしか用いられなくなっていたからね。

②漫画

スマホは普及途上で、割れはあっても公式の配信は充実してないし、電子書籍も普及していない平成20年代前半では、まだ漫画は紙の本で読まれていたので、通学中の暇つぶしで漫画を読むには紙の本が必要でした。学業に全く関係ないものなので当然持ち込み禁止で先生に見つかるとボッシュートされていたけど面白いから持ってきちゃうよね。
エナメルバッグの底に入っている中敷の下に隠して持ってきていました。アレ禁止アイテムを学校に密輸するのにすごい便利だったよな……

発売日にはジャンプの回し読みをしたり、持ってきた単行本の貸し借りも行われたり紙の本があったからこその文化も華開きました
貸し借りを通じて変な漫画が局所的に流行ることもあって、中のお兄さんの周りだと、不正うpされたアニメとの相乗効果でとっくに打ち切られていた「かってに改蔵」の下ネタをやっていた頃の巻だけが流行ったり、リア充がオタクが持ってきたひぐらしを取り上げてバカにするつもりで読んだらハマったりしたんだって。

③フォグバー

瑛太や三浦春馬がロンドンで「シュッシュ」言ってるCMで一世を風靡したスプレー式のワックス
当時のリア充は昼休みに洗面所で髪にスプレーしていたものだけど、今はドラッグストアに行っても売ってないよね……。

④教科書

通学バッグに教科書が入ってるのは当たり前って言われるかもしれないけど、脱ゆとり教育で教科書は厚くなるし、ゆとり教育が終わった直後の年は教科書の改訂が間に合わなかったのか補足冊子までできるし、教科書でも膨れ上がっていたのです。スクバが廃れたのもそれが一因だと思うっちゃね。
今の高校生は脱ゆとりしてもタブレットで電子化されて荷物が減って楽そうでいいよね。

⑤大きか銀チョコ

西日本限定の話になるけど、福岡のリョーユーという会社が大きか銀チョコというカロリーの塊みたいなパンを出していて学生から絶大な支持を得ていました。たぶん今も人気なはず……。ヤマザキの銀チョコWという類似品には注意です。
大きか銀チョコは早弁、昼食、部活終わり、塾の帰りなどあらゆる場面で大活躍!売店では真っ先に売り切れていたし、家からも持ってきていました!
ちなみに、20世紀以前は同じくリョーユーが出しているマンハッタン (現在も発売中) というカロリーの塊が平成20年代の大きか銀チョコポジにあり、175Rはマンハッタンへの思いを歌った「マンハッタン」という曲をリリースしています。
36-06-25

平成の学ランについていた「襟のアレ」

コロナ禍を経て学校制服の見直しが進んでいるようです。
制服は気軽に洗濯できず衛生的でないので、おうちでも洗えるジャージや私服での登校が認められ、そのせいで制服の不便さに目覚めてしまった生徒が騒ぎ出したようです。

「制服は簡単よ楽チン」「最後に笑っちゃうのはあたしのはずセーラー服だからです」

とJKが制服を礼賛していた平成では考えられないことですね。

さすがに制服廃止まで突っ走ってしまった学校は少ないものの、ジェンダー多様性やらも絡んで学ランとセーラー服のブレザーへの置き換えが急速に進んでいるようで、気づいたらしょうたの住む福岡市の中学校の制服もダサいブレザーに切り替わってしまいました!
多様性とは女子用の学ランや男子用のセーラー服を作ってみんなが好きな服を選べることではないのですか!?制服のブレザーへの統一は生徒の意思を認めず全てを同じ型へあてはめようとする管理教育の復活です!そういえば、かの北朝鮮の学校制服もみんな同じダサいスーツだとか。
新しい戦前!軍靴の音!ポルポト!

そんな感じで学ランの廃止が相次いでいるのですが、実は現代の学ランは見た目こそ学ランなものの構造的には別物で、平成お兄さんや昭和おぢさんにとってお馴染みの学ランは2021年に製造中止になって既に絶滅済みたいです。
現代の学ラン「もどき」と平成の学ランで何が違うのかというと襟。
平成20年代に入ってドンキで売ってるコスプレ用の制服と同じような襟の芯と襟が一体化されてたラウンドカラーというタイプの学ランが急激に普及し、「襟のアレ」こと学ランの襟の内側についてて襟を支えているプラスチック製の白い板。正式名称プラスチックカラーは使われなくなってしまったのです!
書いてて思い出したけど、しょうたの制服からも気付いたら「アレ」がなくなってたような記憶。知らないうちに歴史の1ページに立ち会っていたんだな~……。 (※しょうたは11歳児です。)

冬は氷のように冷えるし、ウルフの襟足を持っていかれるし、割れたら刺さって痛いし、評判の悪い謎パーツだったけど、全滅したと聞くと寂しいね。
一応メリットとして、交換できるので汚れても付け替えられるから衛生的だとか、壊れても付け替えるだけで簡単に直せるとかあったそうです。衛生的なのはコロナ禍にはうってつけだった気がするけど、人間は失ってからはじめて物の価値に気付く愚かな生き物なので再評価されることはなく消えていきました。悲しい出来事でしたね。
あと、治安の悪かった90年代には、ヤンキーが龍などの図柄が入った「アレ」に付け替えて悪さを競う文化もあったんだって!
……と、書いたけど、普通に着てて「アレ」を交換するようなことってあったっけ……?
………………。
う~ん、やっぱなくなっても仕方ないか……。

まだアラサーだしギリギリ行けるかもと制服ディズニーを考えている平成お兄さんのみんな!メンズメイクやインスタのフィルターで歳をごまかせたと思っていても、制服の襟という盲点が潜んでいるから気を付けてくださいね!
童顔だからって制服でラーメン屋に並んで学割を違法適用しようと考えている悪い平成お兄さんも、真っ白な襟の内側を見られたら本物の学生でないことがバレるから悪事は働けませんよ!
参考文献
  • まいどなニュース 学生服の白いプラスチックカラー、製造中止で絶滅寸前らしい ブレザーの隆盛で詰襟自体も激減


  • 34-06-29

    残念なお知らせです。電車でバッグが邪魔だと学校に苦情が来ています。

    しょうたはまだ11歳なので大人げないです。
    なので、小学生のガキがゆとり世代を下に見たような発言をしてるのに怒ってしまい以前日記で、
    中高生のエナメルが消えたみたいに非合理的なものは淘汰される。だから今も残っているランドセルには相応の合理性がある。ガキが知った口を叩くんじゃない!」
    と論破返ししたんだけど、最近エナメルバッグを使ってる学生ってほんといないよね……。

    しょうたの頃―2010年前後の中高生の間ではエナメル生地のスポーツ用のショルダーバッグが大流行していました。
    こんな感じのやつです。
    エナメルバッグ
    エナメルバッグ
    スポーツバッグ、エナメルバッグ、または省略して単にエナメルとか呼ばれてました。
    アディダス、プーマ、ナイキ、ミズノ、アシックスといったスポーツブランドのものが定番
    変わり種でプレイボーイのウサギだったり、観光地によく置いてある〇〇部Tシャツ的なノリでくさいポエムが書かれたやつも見た覚えあります。

    当時の男子中高生は運動部だろうが運動部でなかろうがほぼ全員持っていたし、通学カバンの指定のない学校の生徒は大体これで通学していました。バッグ自由の学校でこれを使わなかったのは、道具が多くて普通のエナメルでは入りきらないので専用のバッグを使っていた野球部か剣道部、普段から江崎びすこさんみたいな恰好をしてるおしゃれ超級者のイケメン身なりに無頓着な非リアオブ非リアぐらいのものでしょう。
    男子の間での異常な流行ぶりには劣るものの、女子の間でもそれなりに人気で運動部員と吹奏楽部員はだいたい使っていました

    さて、そんなエナメルバッグの流行りはじめはいつ頃なのでしょうか……。
    古くは1999年の金八先生第5シリーズで風間俊介がそれらしきバッグを使っている……と思ったら、形が正方形でなんか違う……。
    嗣永桃子主演で知られる2002年の年末映画「仔犬ダンの物語」のサッカーシーンの背景にもそれっぽいバッグが置かれていたものの、やはり正方形。
    21世紀初頭以前には今 (というか10年前) のような形のエナメルバッグはなかったっぽい……。

    確認できた中で最古の現代と同じような横長のエナメルバッグは、2002年のワールドカップでイングランド代表チームが使用したもの
    当時のイングランド代表には数々の社会現象を巻き起こしたベッカムがいたので、エナメルバッグ流行のきっかけは実はベッカムかもしれません。

    流行りはじめたのがいつかよくわからないのに対し、廃れた時期は2015年前後とはっきりしています。
    片方の肩への負担が集中して体によくないと判明したことや、不安定で自転車で転びやすくなる危険性、走っている途中に左右に揺れるバッグが周囲の歩行者の顔面を直撃する事故の多発、そしてここに来て今日のタイトルの伏線回収ですが、横長型でやたら場所をとるため電車やバスの車内で邪魔だという苦情の電凸が学校にしょっちゅう来る (よく朝礼で生徒指導の先生がイライラ説教してた。) など、エナメルバッグの多くの問題点が浮き彫りになって一気にスクエア型のリュックへの移行が進みました。
    そして中学/高校入学時にエナメルバッグを買った世代が卒業する元号が変わったころになると、部活で指定される例を除くとエナメルバッグを使う学生はいなくなってしまいます。
    エナメルバッグもまた平成とともに消えた物の一つだったのです。

    色々問題を書いたけれど、開口口が大きくバッグの深さも浅いのでリュックより荷物を出し入れしやすい、エナメル生地なので防水性抜群、 (色にもよるが) 汚れにくい高い耐久性などエナメルバッグにもいい所はありました。
    中敷きの下を色々なものの隠し場所として仕えたので、漫画やCDやお菓子を学校に密輸するときにも便利でした。
    致命的問題になった肩の負荷もサッカーなど腕を使わない部活の部員や帰宅部勢には関係ないので、これらの人の間だけでもエナメルバッグが再び流行する日が来てもいいと思うんだけど、通販サイトを見たところ、NIKEやUMBROなどメーカーによっては製造自体やめてるし、残ったメーカーもかつてのカラーバリエーションの豊富さはどこへやら、白と黒の二種しか発売してないといった有様です。

    気づけば現実世界では絶滅寸前のエナメルですがアニメや漫画の中では学生を表すアイコンとして今のところまだ現役
    「それでも歩は寄せてくる」の歩も将棋部には似つかわしくないごついエナメルを使ってるし、最近だとサンデーの新連載「ラストカルテ」の主人公の当麻健匠は学校だけでなくプライベートでも白のエナメルを愛用しています。

    フィクションの世界からも消えた時がエナメルバッグの本当の終わりでしょう。