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テレビ

36-04-16

平成のテレビ番組でよく聞いたあのBGMの出所

つばさ:
あ~、イライラする!

しょうた:
フケが落ちそうだから頭をかきむしるのはやめてよ……。なにをそんなにカッカしてるの?

つばさ:
IQサプリのエンディングで伊東四朗にモヤッとボールが降り注ぐ時の曲のイントロから先の部分が思い出せんくて気持ち悪いっちゃ!
曲名がわからんけん調べようもないし、どげんしたらいい?

しょうた:
あ~。
バラエティ番組とかでよく流れるbgmって、メロディが全部歌えても曲名はわからないってことがよくあるよね。
ということで、平成の人気番組でお馴染みの (お馴染みだった) BGMの元ネタをまとめてみたよ。
つばさの知りたがってる伊東四朗にもやッとボールが降り注ぐときの曲も入れといたよ。

つばさ:
ほんと?たすかる。

①ダーツの旅 These days are old

笑ってコラえて!の人気コーナー・ダーツの旅のオープニングテーマは、カナダのシンガーソングライター・スプーキンルーベンの「These days are old」という曲。
アルプスの山脈に響くヨーデルをイメージした曲が、ダーツの旅の田舎な感じとマッチして採用された。
平成28年には笑コラ放送開始20周年を記念して日本に招かれたルーベン氏がスタジオでこの曲を披露した。

②珍獣ハンターイモト 男の道は喧嘩道

イッテQの代名詞・珍獣ハンターイモトのテーマに使われているのは平成13年に放送されたアニメ・破壊魔定光のオープニング「男の道は喧嘩道」のインスト版。
歌詞ありverを聞いてみると、「獣の匂いをさせて」「明日は何処かでまた地獄旅」など、イモトの内容にも結構リンクしていている。

③IQサプリ Prologue

つばさが気になっている脳トレバラエティの脳内エステIQサプリのエンディングテーマはディズニーと見せかけてディズニーではない映画「アナスタシア」の冒頭の舞踏会のシーンで流れていたPrologueという曲。
伊東四朗の「美しさは脳から……美脳」の掛け声とともにこの曲が流れ始め、貯まったモヤッとボールが伊東四朗の頭に降り注いでいた。

④ギリギリッス The Flik Machine

はねトびのギリギリッスのリプレイシーンで流れていた陽気な音楽は、ピクサーの映画「バグズライフ」で使われたThe Flik Machine。
虫つながりで採用されたのか?

⑤マツコの知らない世界 I've Told Every Little Star

マツコの知らない世界のテーマ曲はI've Told Every Little Starという1930年代のアメリカのミュージカル映画の曲。
日本では、平成28年にはカントリーガールズ (旧・カントリー娘。) が「ランラルンあなたに夢中」のタイトルでカバーした。
マツコはハロプロ好きなので、自分の番組のテーマをカバーしてもらえてとても嬉しかったことだろう。

⑥バンキシャ バトルプレッシャー

バンキシャで不穏な内容が流れる時にお馴染みのあの曲の元ネタはアニメロックマンエグゼのバトルプレッシャーという曲。
バンキシャでは騒音おばさん→秋葉原のオタクの生態紹介回で二連続で流れたことで有名。ロックマンエグゼの方でも悪魔チップで女王様になったロール「様」がロックマンとSMプレイを繰り広げるシーンで使用されており、両番組を代表する神回を彩った番組を語るうえで欠かせない一曲である。
なお、ゲームのロックマンエグゼ4にも同じタイトルの曲があるが、こちらは曲名が同じだけで無関係の別の曲。

⑦小堺サイコロ ハードデイズラグ

ライオンのごきげんようで小堺さんがサイコロを投げる時の「何が出るかな~」のBGMは薬師丸ひろ子のハードデイズラグという曲のイントロ部分を使用。
なお、薬師丸ひろ子はトーク番組が苦手なようで、曲を使われていながらごきげんようへの出演歴はない。

⑧モヤモヤさまぁ~ず2 小田急ピポーの電車

モヤさまで小田急沿線に出没するときに流れているあの曲は昭和30年代の小田急電鉄のCMソングの小田急ピポーの電車が元ネタ。
小田急といえばロマンスカーで有名だが、平成初頭までは東武特急がロマンスカーを名乗っていたので、代わりにピポーという間抜けなキャッチフレーズになってしまった。
35-05-23

西日本的笑いとその衰退~なぜコント番組は消えたのか~

東西のお笑い論をしましょう。
東京のあるあるネタ、名古屋の「えびふりゃあ」語、関西のボケツッコミ……。
同じ日本といっても、地域によって笑いの文化はいろいろあります。
しょうたが住む福岡、というか福岡を中心とした西日本 (※) にも独特の笑い・ユーモアはあります。
それは……

ツッコミすら無視してひたすらボケ続ける!

ボケとツッコミの間でやりとりが行われる点では関西と同じだけど、ツッコミで面白さが決まるツッコミ優位の関西の笑い・ユーモアに対し、西日本の笑い・ユーモアではボケ役はツッコミ関係なくボケ続けて常識をかき乱して笑いを起こし、ツッコミの果たす役割はボケを引き立たたせるための対比役として置かれた常識人にすぎないボケ中心の進行です。
「いいとも」とかを見てると、たまにタモさん (福岡出身) が変なボケをかまして周りが付いていけなくなって対応に困って愛想笑いしてるけど、あれがまさにそれです。「ブラタモリ」でタモさんと一緒にブラブラする女子アナは九州から選ばれているのも、西日本的な笑いの感性を持っていてタモさんの突発的なボケへの対応力が高いからだと思うっちゃね。
タモリに限らず、芸人だとウンナン、華丸大吉、ネプチューン。漫画だとうすた京介や六道進士なんかが西日本的笑いの典型でしょう。

しょうたも90年代のことにはリアルタイムではわからないからはっきりとは言えないけど、テレビだと「ウリナリ」漫画だと「すごいよ!マサルさん」あたりをきっかけに、90年代後半から00年代初頭にかけてこうした西日本的笑いは市民権を得て、アニメ・漫画だと「デ・ジ・キャラット」「ボボボーボ・ボーボボ」、お笑い芸人だとロバートやバカリズムなどのフォロワーも多数現れ、彼らの活躍の場として「エンタの神様」「はねトビ」「笑う犬」などのコント番組も多数放映されるようになります。
なので、平成少年としても、九州の人間としても、しょうたはウンナン系のコントや「デ・ジ・キャラット」のようなシュールギャグアニメが大好きなのですが、最近コント番組が少なくて激泣ぴえぴえ丸!
コントをやるにはセットがいるのでテレビ離れが進んだ現代では予算的に難しいし仕方ないか……としょうたは思ってたんだけど、ちょっと興味深い考察を読みました。かねひさ和尚という方の自己完結するユーモア―「笑い」に関する所感という文章です。

ここで自己完結型うんぬんって難しそうに語られてるものこそしょうたの言う西日本的笑いなんですが、和尚さんは
「リアクションによる関係性の補強が欠如している分、どうしてもギャグそのものの爆発力は小さくなるし、瞬間的に消費できるものとは言い難くなる」
「この目まぐるしい情報時代において、ひとつひとつのギャグをゆっくり考える時間はもはや受け手には残されていない。全てを枠の中にいる常識人が解説し、枠の外にいる受け手はあくまでも受動的な態度で笑いを消費するのではないだろうか。」
と考察していて、情報過多社会においてはしょうたの言うところの西日本的笑いをゆっくり味わう暇がないと述べてます。
なるほど~。たしかにボケにツッコミを入れるだけなら10秒もあればできるし笑いも取れるけど、ボケ続ける西日本的な笑いを、万人の笑いを取れる水準でやろうとしたら最低でも1分ぐらいは必要。
最近のお子達が大好きなコントとして成立させるなら3分とかそれなりのお時間がかかってショート動画には収まらないし、しょうたは嫌いな言葉ですが「タイパ」も悪いです。
時間的余裕が必要なジャンルなので、それがなくなれば廃れるわけです……。

あと、余裕という点では、社会全体の心理的余裕がなくなってしまったことも関係してると思うっちゃね。
元々西日本的な笑いの感性を持っていた地域にとっては新幹線開業のお祝いをぶっ壊されたことを除けば全く関係なかった東日本大震災を機に、別に高まらなくてもいい愛国心が高まったりデマが飛び交う福島原発事故後のパニックでニュースに感心を持つ人が増えてしまったり、自粛ムードによって、社会全体が平成のおもしろさ至上主義からまじめモードにシフトチェンジ。
このような堅苦しい社会では、常識を揺るがせるような異物は受け入れられにくく、たとえブラウン管や再生紙の上に現れたとしても常識の枠内へ押し込むこと、すなわちツッコミが行われて強制的に矯正されてしまうでしょう。
西日本的笑いが人気を博していた当時ですら、あまりのシュールさに「理解不能」とクレームが殺到してボーボボのスポンサーが居なくなったぐらいなので、令和の時代に壁を突き破って出てきた変な兄妹が「うっかりうっかり!」なんてポーズきめても殺意しか持たれないだろうし、落ち込んでいる人のまわりに裸の男が現れて「やった!やった!」なんて叫んでも嫌味としか取られないだろうし、「豚地クリニック」の真意は理解されずにルッキズムとして一発アウトの大炎上!
トーク番組に押されて00年代後半からコント番組は減りつつはあったようですが、実際残った番組も震災後の2013年前後に大量打ち切りを食らってほぼ死に絶えたようです。

いつか、ぶっ飛んだボケを楽しめる、異物を受け入れる心理的・時間的な余裕、言ってみれば平成的な「おきらくごくらく。」さが社会全体に戻る日が来るといいな~。
(※)西日本……しょうたは福岡の人間なので、しょうたが西日本と言う時は九州に広島県安芸地方・島根県石見地方・愛媛県南部を加えた地域のことを指す。山口?あそこは最初から九州でしょ?